地球は巨大な磁石のように振る舞っています。そのまわりには地球磁場が広がっています。

この磁場は、地球内部の溶けた金属の運動によって生じています。外から見ると、N極とS極をもつ棒磁石(双極子)によく似た構造をしています。そのため、地球磁場は多くの場合、双極子磁場として近似されます。

双極子磁場では、磁場の強さは地球中心からの距離 $r$によって急激に弱くなります。赤道面付近では

$$ B(r)=B_0\left(\frac{R_E}{r}\right)^3 $$

と表されます。ここで $B_0$は地表磁場(約 $3.1\times10^{−5}\,\mathrm{T}$)、 $R_E$は地球半径です。

磁場の強さが距離の3乗に比例して弱くなるという性質は、磁気圏の広がりや人工衛星が置かれる環境を決める重要な特徴です。


磁場の強さはテスラ(T)という単位で表されます。磁場は目に見えない量ですが、その大きさは運動する電荷に働く力を基準に定義されています。

速度 $v$で運動する電荷 $q$が磁場 $B$の中に入ると、電荷にはローレンツ力が働きます(速度と磁場が直交する場合)。

$$ F=qvB $$

この関係から、 $1\,\mathrm{T(テスラ)}$とは、電荷$1\mathrm{C(クーロン)}$が速度 $1\mathrm{m/s}$で運動しているときに $1\mathrm{N(ニュートン)}$の力を受ける磁場の強さと定義されます。

つまり、磁場とは「動いている電荷を曲げる力の強さ」を表す量なのです。


地球磁場は広い空間に広がり、太陽風を受け止めています。その結果、地球のまわりには磁気圏と呼ばれる空間が形成されます。

しかし、磁気圏は固定された殻ではありません。

太陽風が吹き付ける側では磁気圏は押しつぶされ、反対側では細長く引き伸ばされます。そこには磁気テイル(尾)が形成されます。

磁気圏は、太陽風の状態によって形や内部構造が変化する、動的な空間なのです。


図2-4 地球磁気圏の模式図

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